今年のインディ500のレースは例年通り満員の観客の見つめる中イベントスケジュールを順調にこなし、予定通り始まるものと思われたが、決勝レース直前になって雨が降り出し、急遽中断となった。イベントの中では、我々日本人に特になじみのある所で、ドラマER(緊急救命室)のマーク・グリーン役でお馴染み、アンソニー・エドワーズによるペースカーランがくり返し行われ、観客の注目を浴びていた。
また、前日のナザレスでのCARTレースをこなしてこの日の500マイルレースに臨むドライバーは、ターゲット・チップ・ガナッシ・レーシングの2人、ファン・モントーヤとジミー・バッサー。また、同じくCARTで活躍中のミーモ・ギドリー選手もエントリーしていたがこちらは残念ながら予選落ちしている。一方チーム・メナードからスポット参戦のお馴染みのドライバー、ロビー・ゴードンはこのレース終了後にNASCARの600kmレースに出場という強行スケジュールである。過去にこのスケジュールをこなしたのは2人のドライバー(ジョン・アンドレッティ、トニー・スチュワート)のみである。
雨は降ったり止んだりをくり返しつつも、路面の乾きが早く、レースはなんとか当日中に行われる運びとなった。予定から3時間遅れの午後2時、スタート・ユア・エンジンズのかけ声がかかりいよいよマシンに火が入った。33台のマシン全てがペースラップに出ていく。
レース経過
Lap 1 グリーンフラッグが振られ、レーススタート。ロビー・ゴードン(#32、チーム・メナード)がいいスタートを見せ2位に上昇、ポールスタートのグレッグ・レイ(#1、チーム・メナード)とテール・トゥー・ノーズの争いを展開。しかしファン・モントーヤ(#9、チップ・ガナッシ)が第3ターン過ぎにゴードンをパス、2位に上がる。
Lap 2 レイがトップで1周目を終える。2位のモントーヤとは1.147秒の差。また33台全てが1周目を事故なく終え、これは1994年以来。エディー・チ−バーJr.(#51、チーム・チ−バー)が8つ順位をあげて10位。
Lap 3 レイは2位のモントーヤに0.943秒、3位のゴードンに3.66秒差をつけてトップを快走。
Lap 5 この時点の順位:レイ、モントーヤ(0.689秒)、ゴードン、サラザール(#11)、ワード(#14)、シャープ(#8)、チ−バー、バッサー(#10)、ウォレス(#92)、ビュール(#24)。
Lap 8 レイのモントーヤに対するリードは再び1.144秒と広がる。チ−バーが順位を一つ上げ7位に戻す。
Lap 10 ジョニー・アンサー(#22、インディ・リージェンシー)がエンジンの不調を訴えピットへ。この時点の順位:レイ、モントーヤ、ゴードン、サラザール、ワード、シャープ、チ−バー、バッサー、ウォレス、ビュール。
Lap 13 トップのレイ、モントーヤの前に周回遅れが現れる。ゴードンがメインストレートでモントーヤをパス。
Lap 14 モントーヤが周回遅れのリン・セント・ジェームス(#90、ディック・サイモン)を抜きあぐねるゴードンをターン3の先でパス。
Lap 15 レイのリード、1.741秒。
Lap 16 ジョニー・アンサーがスパークボックスを交換してレースに復帰。しかし8周遅れとなる。
Lap 17 レイはモントーヤから1.008秒のリード。3位にはサラザールがゴードンを抜いて上がってきた。
Lap 20 この時点の順位:レイ、モントーヤ、サラザール、ゴードン、ワード、シャープ、チ−バー、バッサー、ウォレス、ビュール。
Lap 21 サム・ホールニッシュJr.(#18、PDM)がルーティーンピット(タイヤ交換、メタノール給油)。しかしピットアウト時にエンスト。駆動系の問題か。
Lap 24 レイはモントーヤに0.873秒のリード。平均レーススピードは211.805マイル。
Lap 25 9位のウォレスがピットへ。ルーティンを済ませ30秒で出ていく。
Lap 26 ジャック・ラジェ(#33、トラスチェリ)、ジミー・カイト(#27、ブループリント)がルーティンピット。それぞれ32秒、19秒でピットアウト。
Lap 27 モントーヤがメインストレートでレイを遂にパス、トップに立つ。
Lap 28 レイがターン1でモントーヤを抜き返す。しかしその周の終わりにピットに入った(15秒)のでモントーヤは記録上トップを保ち続ける。他のピットインはゴードン(15秒)、ワード(15秒)、サラザール(13秒)、ダレ(#88、18秒)、ヒレンブルグ(#48、15秒)、アンサーJr.(#3、13秒)。
Lap 29 ピットストップ〜シャープ(#8、25秒)、チ−バー(15秒)、モントーヤ(11秒)、グッドイヤー(#4、14秒)、バディ・ラジェ(#91、24秒)
Lap 30 ピットストップ〜シュレーダー(#6、16秒)、ハミルトン(#16、17秒)、ビークラー(#98、16秒)、カルキンス(#12、13秒)、フィッシャー(#15、34秒)。リッチー・ハーン(#75、ペイガン)がピットを通り過ぎるミス、そのままピットアウト。この時点でジミー・バッサー(#10、チップ・ガナッシ)がトップに。
Lap 31 バッサーがピットイン(12秒)してロビー・マッギー(#5、スレッドウェイ)がトップに立つ。他のピットストップ〜ビュール、グレゴワール(#7)、ボート(#41)、ハーン、ボゼール(#55)、ディズモア(#28)。
Lap 32 マッギー(18秒)、ナップ(#23、88秒〜エンジンストール)がピットイン。
Lap 33 各車一連のピットストップが終了しモントーヤがトップに返り咲く。
Lap 34 モントーヤが2位のゴードンに対して11.852秒と大差のリードを築く。
Lap 50 この時点の順位:モントーヤ、ゴードン(7.518秒)、サラザール、チ−バー、ワード、バディ・ラジェ、レイ、バッサー、アンサーJr.、マッギー。
Lap 55 モントーヤはゴードンに対して再び21.866秒のリードを築く。ゴードンがピットイン、2回目のルーティン作業が始まる(13秒)。
Lap 56 ピット〜ワード(14秒)
Lap 57 ピット〜サラザール(13秒)。平均レーススピード〜207.444マイル。
Lap 58 モントーヤが2位に上がってきたチ−バーに20.404秒のリード。
Lap 59 ピット〜バディ・ラジェ(14秒)、アンサーJr.(13秒)
Lap 60 ピット〜レイ、チ−バー、グレゴワール(全員15秒)
Lap 61 モントーヤが2位のバッサーに対して30.180秒のリード。ピット〜グッドイヤー(14秒)、フィッシャー(28秒)。
Lap 62 ピット〜シャープ(20秒)、燃料接続に問題を抱えている模様。
Lap 63 ピット〜モントーヤ(13秒)、レフラー(#50、16秒)。
Lap 64 ピット〜バッサー(12秒)、ディズモア(14秒)。トップは再びモントーヤ。
Lap 65 ピット〜ビュール(26秒)、ボゼール(40秒)。
Lap 66 イエロー1回目。レイがターン2でクラッシュ、右前ホイールにダメージ。アル・アンサーJr.(ギャレス)がその破片を踏んで左サイドポットにダメージ。2台ともピットへ。
Lap 67 ピット〜ダレ(11秒)、マッギー(14秒)。
Lap 69 ピット〜フィッシャー(11秒、燃料のみ)。
Lap 71 グリーンフラッグ。モントーヤ、ゴードン、バディ・ラジェの順。
Lap 74 イエロー2回目。ジェームスとサラ・フィッシャー(ウォーカー)の女性2人による絡み事故発生。ターン1過ぎで2台とも右サイドから壁に激突。
Lap 75 ピット〜ゴードン(12秒)、サラザール(9秒、燃料のみ)、ワード(9秒、燃料のみ)、カイト(そのままガレージへ)。
Lap 78 アンサーJr.がガレージからピットへ戻る。ピット〜チ−バ−(14秒)。
Lap 80 デイビー・ハミルトン(チーム・エクストリーム)がコース上にストップ。電気系の問題。
Lap 82 ピット〜バディ・ラジェ(14秒)。
Lap 84 グリーンフラッグ〜モントーヤ、バッサー、マッギー、アイルトン・ダレ(チーム・エクストリーム)、サラザールの順。
Lap 85 モントーヤが2位のバッサーに対して6.88秒のリード。
Lap 92 モントーヤがこの時点で2位に上がってきたマッギーに対し14.830秒のリード。
Lap 93 ハーンがピットイン。電気系の問題。
Lap 97 アンディ・ヒレンブルグ(ファスト・トラック)がピットイン。リヤのホイルベアリングに問題を抱え、交換し再スタートを試みるもここでリタイヤ。
Lap 98 3回目のイエロー。原因はトラック上のゴミ。原因と関係ないがビュールがこの周にマシンから白煙を上げてそのままリタイヤ(ギアボックストラブル)。
Lap 100 この周回での順位〜モントーヤ、マッギー、バッサー、サラザール、ワード、チ−バー、バディ・ラジェ、ゴードン、ダレ、シャープ。ピット〜バッサー(11秒)、ゴードン、チ−バー(12秒)、モントーヤ、アンサーJr.(13秒)、ワード、レフラー(14秒)、サラザール(15秒)、マッギー、シャープ(16秒)、ディズモア、ダレ(17秒)、ボゼール(18秒)、グッドイヤー(20秒)
Lap 102 グリーン。モントーヤ、バッサー、ダレの順。
Lap 103 アンサーJr.がピットロードにマシンを止める。オーバーヒートでそのままマシンを降りリタイヤ。
Lap 106 モントーヤと後続の差〜バッサー(2位、5.649秒)、ダレ(3位、5.928秒)
Lap 115 レースに復帰したハーンだったが、エンジンパワーが出ずリタイヤする。モントーヤが2位に上がったバディ・ラジェに12.5秒のリード。
Lap 120 マッギーの車にコイルの問題が発生とチームからのリポート。
Lap 125 この時点の順位:モントーヤ、バディ・ラジェ、ワード、ダレ、チ−バー、サラザール、ゴードン、バッサー、マッギー、グレゴワール。
Lap 127 イエロー4回目。ダレがフロントストレッチで白煙。ダレは車をインフィールドに止め歩いてピットへ。
Lap 128 ピット〜レフラー(12秒)、モントーヤ、バッサー(13秒)、シュレーダー、シャープ、チ−バー、バディ・ラジェ、グッドイヤー(14秒)、ワード(15秒)、グレゴワール、ゴードン(16秒)、ボゼール(18秒)、ディズモア(35秒)、ボート(37秒)、マッギー(75秒、コイルの交換)。
Lap 130 グリーン。
Lap 132 モントーヤが2位のワードに1.948秒のリード。チ−バーが煙りをあげるがそのまま走行。
Lap 134 バディ・ラジェがワードをパスして2位に上がるがモントーヤとは3.900秒の差。
Lap 136 マッギーがピットイン。さらにエンジンに修理を加える。
Lap 139 ガレージで修理していたレイのマシンがコースにカムバック。修理に74分もの時間を費やした。チ−バーがギアボックスのバイブレーションを訴える。
Lap 142 ハミルトンが長いピットストップを終えコースに復帰。
Lap 143 イエロー5回目。せっかく戻ったレイだったがターン2の壁にヒット、壁をスライドしたのちバックストレートのコース中央にマシンを止める。そのままリタイヤとなる。
Lap 145 ピット〜モントーヤ、ワード(10秒)、シャープ、ゴードン(12秒)、チ−バー、バッサー(13秒)、バディ・ラジェ、ディズモア(14秒)、サラザール(15秒)、グレゴワール(16秒)、グッドイヤー(18秒)、レフラー(30秒)。
Lap 150 グリーン。
Lap 152 モントーヤ、2位のバディ・ラジェに1.805秒のリード。
Lap 158 イエロー6回目。ホールニッシュJr.がターン1過ぎでハーフスピン。左車側を壁にヒットしリタイヤ。
Lap 159 ピット〜バッサー(11秒)、ディズモア (15秒)。2人は賭けに出た模様(レース中にイエローが出るのを願ってこのまま走り切る作戦)。
Lap 161 グリーン。モントーヤ、バディ・ラジェ、ワード、サラザール、チ−バーの順。
Lap 162 バディ・ラジェがモントーヤをパス。しかしその周のうちに再逆転される。
Lap 166 モントーヤがラジェをジリジリと離す(0.529秒)。この時点で同一周回は7台。
Lap 169 モントーヤのリード:バディ・ラジェ(1.573秒)、サラザール(3位、2.118秒)。
Lap 173 サラザールがバディ・ラジェをパス、2位に上がる。
Lap 174 イエロー7回目。ウォレスがバックストレートで白煙を上げる。
Lap 175 シュレーダーのマシンから霧状のものがもれているとの報告。ピット〜モントーヤ(11秒)、ゴードン(15秒)、グレゴワール、チ−バー、バディ・ラジェ(16秒)、シャープ(17秒)、ワード、サラザール(18秒)、グッドイヤー(20秒)。
Lap 177 グリーン。ピットに入らなかったバッサーがトップに立つ。2位にモントーヤ、3位にバディ・ラジェ。
Lap 179 バッサーのモントーヤに対するリードは0.247秒に減る。
Lap 180 ターン3でモントーヤがバッサーをパス。
Lap 186 モントーヤがバッサーに5.204秒、3位のバディ・ラジェに8.437秒の差。
Lap 193 バディ・ラジェがバッサーをバックストレートエンドで内側からパス。
Lap 194 相変わらず7台が同一周回。モントーヤのリードは10.403秒。
Lap 195 ディズモア、燃料が持たずピットへ。燃料のみで6秒。
Lap 196 バディ・ラジェがファステストラップを連発してモントーヤに迫るが7.856秒とまだまだ追いつけない。バッサーも燃料が耐えきれずにピットへ。燃料のみ5秒。
Lap 199 ホワイトフラッグ。あと1周を残しモントーヤがバディ・ラジェに対し8.533秒のリード。
Lap 200 チェッカーフラッグ。モントーヤが1966年グラハム・ヒル以来となるルーキーの優勝を達成。7.1839秒差の2位にバディ・ラジェ、3位はエリセオ・サラザール。
レースタイム 2時間59分0秒