2003年第3戦 Bridgestone Indy Japan 300

Twin Ring Motegi (Tochigi, Japan)

必要なのはもてぎではなくIRLの経験!自滅の元CART勢を尻目にベテラン、シャープが優勝!

 4月13日、インディ−レーシングリーグの第3戦、Bridgestone Indy Japan 300が、IRL史上初めての海外である日本のツインリングもてぎにて開催された。レースウィークは天候が目まぐるしく変わり、ドライバーにとってはセッティングの難を極めたが、これまで何度もCARTとしてレースが開催されてきたところだけに、CART移籍組に有利に働くのではと予想され、予選こそ雨で中止されたが、練習走行のタイムで決められたスターティンググリッドはスコット・ディクソン(チップ・ガナッシ・レーシング)、トニー・カナーン(アンドレッティ・グリーン・レーシング)の元CART勢によりフロントローが占められた。決勝日は一転して眩しい青空が広がり気温、路面温度とも急上昇、熱いレースとなった。スタートで飛び出したカナーンをディクソン、高木虎之介選手(モー・ナン・レーシング)、マイケル・アンドレッティ(アンドレッティ・グリーン・レーシング)らが追う展開。しかし序盤からクラッシュが相次ぎ、高木選手は給油ミス、さらにペナルティで大きく遅れたほか、服部茂章選手(A.J.フォイト・エンタープライゼス)はサラ・フィッシャー(ドレイヤー・ラインボールド・レーシング)との接触でサスペンションアームを破損して最終的にはリタイヤ、ロジャー安川選手(スーパーアグリ・フェルナンデス・レーシング)はリスタート時に空気抵抗のあやで車体のバランスを乱してスピン、エリオ・カストロネベス(チーム・ペンスキー)を巻き込んでクラッシュ、リタイヤとなってしまった。さらに多重クラッシュも上位を中心に何度も発生、一時はトップに立ったトーマス・シェクター(チップ・ガナッシ・レーシング)がアレックス・バロン(チーム・ペンスキー)を巻き込んでクラッシュ、さらにディクソンがエアポケットに入り込んでマシンコントロールを失いスピン、これにトップを争っていたカナーンが突っ込み大クラッシュ、ディクソンの車は大破、カナーンは骨折の疑いがある。その他にも中野信治(ベック・モータースポーツ)とジャック・ラジェ(チーム・メナード)がイエローフィニッシュの原因を作るクラッシュをするなど、いままでのもてぎでは考えられなかった実に9回ものイエローコーションが発生し、半数以上の14台がフィニッシュラインを越えることが出来ずに終わる大波乱のレースとなった。この波乱のレースを征したのは、IRLのベテランドライバー、スコット・シャープ(ケリー・レーシング)。早い車を得ながらも、無理せず落ちついたドライブを心掛けたシャープが、IRLの経験を武器に、もてぎの経験を過信して戦列を去った元CART勢を尻目に、貫禄の優勝を飾った。早々からマシンの調子の良さを見せつけていたケニー・ブラック(チーム・レイホール)が猛追を見せるも一歩及ばず2位、3位にはフェリペ・ジャフォーネ(モー・ナン・レーシング)が入った。引退まで残り2戦のアンドレッティは持ち前の思い切りの良さを見せつつも堅実にレースを進めて4位、アル・アンサーJr.(ケリー・レーシング)が5位に続き、アンドレッティと激しく順位を争った2年連続チャンピオンサム・ホーニッシュJr.(パンサー・レーシング)は最後のコーションを前にシャープの先行を許して周回遅れのままイエローに入ったのが響いて6位に止まった。日本勢の最終順位は、途中様々なアンラッキーに見舞われながらも唯一完走した高木選手が8位、シェイクダウンしたてで調整もままならない車で健闘も後7周でクラッシュした中野選手は11位、アームロッドを破損しながらも修復しレースに再登場してくれた服部選手はギアボックストラブルのためにリタイヤし20位、前戦フェニックスに続きまたも若さを露呈する形となってしまったロジャー選手は21位となっている。次戦はいよいよ最高峰インディ500が5月25日に行われる。インディアナポリス・モータースピードウェイでのシェイクダウン走行は5月4日から始まる。これまでの3戦の経験をどう生かすか、楽しみは尽きない。
 

IRL 2003シーズン第3戦 Bridgestone Indy Japan 300 最終結果(オーバルトラック1周 1.5 miles)
着順 予選 車番 Driver Car Name シャシー/エンジン 周回数 リタイヤ理由 得点 総合得点
1 7 8 スコット・シャープ Kelley Racing ダラーラ/トヨタ 200 完走 50 106
2 6 15 ケニー・ブラック Team Rahal ダラーラ/ホンダ 200 完走 40 89
3 9 21 フェリぺ・ジャフォーネ Mo Nunn Racing G-フォース/トヨタ 200 完走 35 92
4 10

7
マイケル・アンドレッティ Andretti Green Racing ダラーラ/ホンダ 200 完走 32 77
5 8 31 アル・アンサーJr. Kelley Racing ダラーラ/トヨタ 200 完走 30 79
6 13 4 サム・ホーニッシュJr. Panther Racing ダラーラ/シボレー 199 完走 28 57
7 5

27
ダン・ウェルドン (R) Andretti Green Racing ダラーラ/ホンダ 198 完走 26 26
8 3

12
高木虎之介 Mo Nunn Racing G-フォース/トヨタ 198 完走 24 50
9 23

13
グレッグ・レイ Access Motorsports

G-フォース/ホンダ
197 完走 22 22
10 19 24 ロビー・ビュール Dreyer & Reinbold Racing ダラーラ/シボレー 192 完走 20 49
11 21

54
中野信治 Beck Motorsports

ダラーラ/ホンダ
190 クラッシュ 19 19
12 16 2 ジャック・ラジェ Team Menards ダラーラ/シボレー 190 クラッシュ 18 56
13 20 52 バディ・ライス Cheever Racing ダラーラ/シボレー 181 完走 17 53
14 2 11 トニー・カナーン Andretti Green Racing ダラーラ/ホンダ 177 クラッシュ 18 102
15 1

9
スコット・ディクソン Chip Ganassi Racing G-フォース/トヨタ 177 クラッシュ 15 75
16 4 10 トーマス・シェクター Chip Ganassi Racing G-フォース/トヨタ 168 クラッシュ 14 53
17 12 6 アレックス・バロン Team Penske ダラーラ/トヨタ 167 クラッシュ 13 13
18 18 14 A.J.フォイト4世 (R) A.J. Foyt Enterprises G-フォース/トヨタ

101
クラッシュ 12 37
19 17

91
バディ・ラジェ Hemelgarn Racing

ダラーラ/シボレー
63 エンジン 11 30
20 22

5
服部茂章 A.J. Foyt Enterprises G-フォース/トヨタ 48 ギアボックス 10 42
21 15 55 ロジャー安川 (R) Super Aguri Fernandez Racing ダラーラ/ホンダ 45 クラッシュ 9 38
22

11
3 エリオ・カストロネベス Team Penske ダラーラ/トヨタ

45

クラッシュ

8

83

23

14
23 サラ・フィッシャー Dreyer & Reinbold Racing ダラーラ/シボレー

35
クラッシュ

7

46

24

24
18 スコット・メイヤー (R) PDM Racing ダラーラ/シボレー

8
クラッシュ

6

26

トータルレースタイム: 2時間21分17秒8256、平均スピード: 129.090 mph

ファステストラップ:トーマス・シェクター(95周目、 201.936mph、27.0977秒)

ラップリーダー
ドライバー リードラップ
トニー・カナーン 70周(1-23, 39, 85-102, 108-123, 160-161, 168-177)
スコット・ディクソン 45周(40-84)
トーマス・シェクター 36周(124-159)
スコット・シャープ 26周(103, 162-163, 178-200)
ケニー・ブラック 15周(24-38)
フェリペ・ジャフォーネ 8周(104-107, 164-167)
 
イエローフラッグ
周回 原因ドライバー 事故種類
9-14 スコット・メイヤー(リタイヤ) アクシデント(ターン4)
18-21 アレックス・バロン ウイング破損によるごみ
27-43 サラ・フィッシャー(リタイヤ)、服部茂章 アクシデント(ターン3)
44 バディ・ライス スピン(ターン3)
46-55 ロジャー安川、エリオ・カストロネベス(リタイヤ) アクシデント(ターン2)
105-112 A.J.フォイト4世(リタイヤ) アクシデント(ターン4)
168-175 アレックス・バロン、トーマス・シェクター(リタイヤ) アクシデント(ターン4)
178-190 トニー・カナーン、スコット・ディクソン(リタイヤ) アクシデント(ターン3)
194-200 中野信治、ジャック・ラジェ(リタイヤ) アクシデント(ターン4)
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