必要なのはもてぎではなくIRLの経験!自滅の元CART勢を尻目にベテラン、シャープが優勝! 4月13日、インディ−レーシングリーグの第3戦、Bridgestone Indy Japan 300が、IRL史上初めての海外である日本のツインリングもてぎにて開催された。レースウィークは天候が目まぐるしく変わり、ドライバーにとってはセッティングの難を極めたが、これまで何度もCARTとしてレースが開催されてきたところだけに、CART移籍組に有利に働くのではと予想され、予選こそ雨で中止されたが、練習走行のタイムで決められたスターティンググリッドはスコット・ディクソン(チップ・ガナッシ・レーシング)、トニー・カナーン(アンドレッティ・グリーン・レーシング)の元CART勢によりフロントローが占められた。決勝日は一転して眩しい青空が広がり気温、路面温度とも急上昇、熱いレースとなった。スタートで飛び出したカナーンをディクソン、高木虎之介選手(モー・ナン・レーシング)、マイケル・アンドレッティ(アンドレッティ・グリーン・レーシング)らが追う展開。しかし序盤からクラッシュが相次ぎ、高木選手は給油ミス、さらにペナルティで大きく遅れたほか、服部茂章選手(A.J.フォイト・エンタープライゼス)はサラ・フィッシャー(ドレイヤー・ラインボールド・レーシング)との接触でサスペンションアームを破損して最終的にはリタイヤ、ロジャー安川選手(スーパーアグリ・フェルナンデス・レーシング)はリスタート時に空気抵抗のあやで車体のバランスを乱してスピン、エリオ・カストロネベス(チーム・ペンスキー)を巻き込んでクラッシュ、リタイヤとなってしまった。さらに多重クラッシュも上位を中心に何度も発生、一時はトップに立ったトーマス・シェクター(チップ・ガナッシ・レーシング)がアレックス・バロン(チーム・ペンスキー)を巻き込んでクラッシュ、さらにディクソンがエアポケットに入り込んでマシンコントロールを失いスピン、これにトップを争っていたカナーンが突っ込み大クラッシュ、ディクソンの車は大破、カナーンは骨折の疑いがある。その他にも中野信治(ベック・モータースポーツ)とジャック・ラジェ(チーム・メナード)がイエローフィニッシュの原因を作るクラッシュをするなど、いままでのもてぎでは考えられなかった実に9回ものイエローコーションが発生し、半数以上の14台がフィニッシュラインを越えることが出来ずに終わる大波乱のレースとなった。この波乱のレースを征したのは、IRLのベテランドライバー、スコット・シャープ(ケリー・レーシング)。早い車を得ながらも、無理せず落ちついたドライブを心掛けたシャープが、IRLの経験を武器に、もてぎの経験を過信して戦列を去った元CART勢を尻目に、貫禄の優勝を飾った。早々からマシンの調子の良さを見せつけていたケニー・ブラック(チーム・レイホール)が猛追を見せるも一歩及ばず2位、3位にはフェリペ・ジャフォーネ(モー・ナン・レーシング)が入った。引退まで残り2戦のアンドレッティは持ち前の思い切りの良さを見せつつも堅実にレースを進めて4位、アル・アンサーJr.(ケリー・レーシング)が5位に続き、アンドレッティと激しく順位を争った2年連続チャンピオンサム・ホーニッシュJr.(パンサー・レーシング)は最後のコーションを前にシャープの先行を許して周回遅れのままイエローに入ったのが響いて6位に止まった。日本勢の最終順位は、途中様々なアンラッキーに見舞われながらも唯一完走した高木選手が8位、シェイクダウンしたてで調整もままならない車で健闘も後7周でクラッシュした中野選手は11位、アームロッドを破損しながらも修復しレースに再登場してくれた服部選手はギアボックストラブルのためにリタイヤし20位、前戦フェニックスに続きまたも若さを露呈する形となってしまったロジャー選手は21位となっている。次戦はいよいよ最高峰インディ500が5月25日に行われる。インディアナポリス・モータースピードウェイでのシェイクダウン走行は5月4日から始まる。これまでの3戦の経験をどう生かすか、楽しみは尽きない。
IRL 2003シーズン第3戦 Bridgestone Indy Japan 300 最終結果(オーバルトラック1周 1.5 miles)
着順 | 予選 | 車番 | Driver | Car Name | シャシー/エンジン | 周回数 | リタイヤ理由 | 得点 | 総合得点 |
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1 | 7 | 8 | スコット・シャープ | Kelley Racing | ダラーラ/トヨタ | 200 | 完走 | 50 | 106 |
2 | 6 | 15 | ケニー・ブラック | Team Rahal | ダラーラ/ホンダ | 200 | 完走 | 40 | 89 |
3 | 9 | 21 | フェリぺ・ジャフォーネ | Mo Nunn Racing | G-フォース/トヨタ | 200 | 完走 | 35 | 92 |
4 | 10 |
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マイケル・アンドレッティ | Andretti Green Racing | ダラーラ/ホンダ | 200 | 完走 | 32 | 77 |
5 | 8 | 31 | アル・アンサーJr. | Kelley Racing | ダラーラ/トヨタ | 200 | 完走 | 30 | 79 |
6 | 13 | 4 | サム・ホーニッシュJr. | Panther Racing | ダラーラ/シボレー | 199 | 完走 | 28 | 57 |
7 | 5 |
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ダン・ウェルドン (R) | Andretti Green Racing | ダラーラ/ホンダ | 198 | 完走 | 26 | 26 |
8 | 3 |
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高木虎之介 | Mo Nunn Racing | G-フォース/トヨタ | 198 | 完走 | 24 | 50 |
9 | 23 |
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グレッグ・レイ | Access Motorsports |
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197 | 完走 | 22 | 22 |
10 | 19 | 24 | ロビー・ビュール | Dreyer & Reinbold Racing | ダラーラ/シボレー | 192 | 完走 | 20 | 49 |
11 | 21 |
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中野信治 | Beck Motorsports |
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190 | クラッシュ | 19 | 19 |
12 | 16 | 2 | ジャック・ラジェ | Team Menards | ダラーラ/シボレー | 190 | クラッシュ | 18 | 56 |
13 | 20 | 52 | バディ・ライス | Cheever Racing | ダラーラ/シボレー | 181 | 完走 | 17 | 53 |
14 | 2 | 11 | トニー・カナーン | Andretti Green Racing | ダラーラ/ホンダ | 177 | クラッシュ | 18 | 102 |
15 | 1 |
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スコット・ディクソン | Chip Ganassi Racing | G-フォース/トヨタ | 177 | クラッシュ | 15 | 75 |
16 | 4 | 10 | トーマス・シェクター | Chip Ganassi Racing | G-フォース/トヨタ | 168 | クラッシュ | 14 | 53 |
17 | 12 | 6 | アレックス・バロン | Team Penske | ダラーラ/トヨタ | 167 | クラッシュ | 13 | 13 |
18 | 18 | 14 | A.J.フォイト4世 (R) | A.J. Foyt Enterprises | G-フォース/トヨタ |
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クラッシュ | 12 | 37 |
19 | 17 |
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バディ・ラジェ | Hemelgarn Racing |
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63 | エンジン | 11 | 30 |
20 | 22 |
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服部茂章 | A.J. Foyt Enterprises | G-フォース/トヨタ | 48 | ギアボックス | 10 | 42 |
21 | 15 | 55 | ロジャー安川 (R) | Super Aguri Fernandez Racing | ダラーラ/ホンダ | 45 | クラッシュ | 9 | 38 |
22 |
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3 | エリオ・カストロネベス | Team Penske | ダラーラ/トヨタ |
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23 | サラ・フィッシャー | Dreyer & Reinbold Racing | ダラーラ/シボレー |
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クラッシュ |
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18 | スコット・メイヤー (R) | PDM Racing | ダラーラ/シボレー |
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クラッシュ |
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トータルレースタイム: 2時間21分17秒8256、平均スピード: 129.090 mph
ファステストラップ:トーマス・シェクター(95周目、 201.936mph、27.0977秒)
ドライバー | リードラップ |
トニー・カナーン | 70周(1-23, 39, 85-102, 108-123, 160-161, 168-177) |
スコット・ディクソン | 45周(40-84) |
トーマス・シェクター | 36周(124-159) |
スコット・シャープ | 26周(103, 162-163, 178-200) |
ケニー・ブラック | 15周(24-38) |
フェリペ・ジャフォーネ | 8周(104-107, 164-167) |
周回 | 原因ドライバー | 事故種類 |
9-14 | スコット・メイヤー(リタイヤ) | アクシデント(ターン4) |
18-21 | アレックス・バロン | ウイング破損によるごみ |
27-43 | サラ・フィッシャー(リタイヤ)、服部茂章 | アクシデント(ターン3) |
44 | バディ・ライス | スピン(ターン3) |
46-55 | ロジャー安川、エリオ・カストロネベス(リタイヤ) | アクシデント(ターン2) |
105-112 | A.J.フォイト4世(リタイヤ) | アクシデント(ターン4) |
168-175 | アレックス・バロン、トーマス・シェクター(リタイヤ) | アクシデント(ターン4) |
178-190 | トニー・カナーン、スコット・ディクソン(リタイヤ) | アクシデント(ターン3) |
194-200 | 中野信治、ジャック・ラジェ(リタイヤ) | アクシデント(ターン4) |